股間が大蛇なα×発情期のないΩ
すべての物事には個人差がある。TVショッピングの「もう手放せませんよね〜」という決まり文句に『※効果には個人差があります』と注意書きが添えられているのもそのためだ。
個人差――それは、平均的なアレやコレやを外れて生きなければならない者たちのために作られた言葉。
そして、若月太陽は、今まさにその〝個人差〟に翻弄されていた。「うっ……あっ……はっ、はぁ……っ」
なりふり構わず飛び込んだ個室の扉が、ガタガタと激しく揺れる。
「な、なんでよりによって……今っ……なんだよ……!」
生まれたての子鹿のように震え、とうに限界を超えていた膝がガクンと崩れた。
「ひぃっ!」
途端に後ろを不快感が襲い、太陽は悲鳴を上げる。
オメガは発情期になると、肛門が濡れる――確かにそう聞いてはいたが、これは濡れるなんて生半可な事態ではない。昔、小学校からの帰り道にラムネを拾い食いして腹を下した時の感覚に似ていた。トロトロの液体が、意思に反してどんどん溢れてくる。
「き、気持ち悪ぃ……!」
大きな瞳から、生理的な涙がぽろぽろと溢れた。どれだけ下腹部に力を入れて締め付けても、尻穴から溢れ出す愛液を止めることができない。
『遅咲きΩのアナコンダ大作戦!』より
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