2022.09.19 15:00『二階堂会長の特別授業♡』文武両道の生徒会長×帰国子女の一年生 ものすごく不快なことをされているのに、二階堂の広い背中は日和に不思議な安心感を与えてくる。頭の奥の方では、制服に皺をつけちゃいけない、と思うのに、日和は二階堂のブレザーにしがみついた手を解けなかった。「気持ちいいとこ、探そうな?」 慈しむような瞳で覗き込まれ、日和は息を呑んだ。なぜだろう。決して強要されているわけではないのに、二階堂の言葉には逆らうことができない。 こくん。 日和が小さく頷いた瞬間、二階堂の中指がズブリと日和の後孔を抉った。『二階堂会長の特別授業♡』より
2022.09.10 15:00『遅咲きΩのアナコンダ大作戦!(オメガバース)』股間が大蛇なα×発情期のないΩ すべての物事には個人差がある。TVショッピングの「もう手放せませんよね〜」という決まり文句に『※効果には個人差があります』と注意書きが添えられているのもそのためだ。 個人差――それは、平均的なアレやコレやを外れて生きなければならない者たちのために作られた言葉。 そして、若月太陽は、今まさにその〝個人差〟に翻弄されていた。「うっ……あっ……はっ、はぁ……っ」 なりふり構わず飛び込んだ個室の扉が、ガタガタと激しく揺れる。「な、なんでよりによって……今っ……なんだよ……!」 生まれたての子鹿のように震え、とうに限界を超えていた膝がガクンと崩れた。「ひぃっ!」 途端に後ろを不快感が襲い、太陽は悲鳴を上げる。 オメガは発情期になる...
2022.09.05 15:00『エサを与えないでください』高校生×高校生のあまずっぱい短編集 悪戯心というのは誰にでもあるモノだと思うのですヨ。でも僕の場合、ちょっとその使い方を間違えたというか。相手を間違えたというか。 一時間前―― 自他ともに認める野球部の敏腕マネージャーの僕は、部長の黒柳さんのサインをもらうべく、書類を持って疾走していました。伊達に黒柳さんと付き合ってるわけじゃないし、きっといるだろうな~とある程度の確信を持って、中庭に行ったわけです。でもまさか、黒柳さんがあんなことをしているとは思わなかったのですヨ。 だからある意味では、黒柳さんにも責任があるのです。だって人間は、意外性とかギャップに激弱な生き物なのですから! 黒柳さんは僕の一個上の先輩で、野球部の部長で、キャッチャーで、動物に例...
2022.09.04 15:00『幼きころ、大好きだったあの人は』戦国時代を懸命に生きた男たちの物語 ホーホケキョ。遠くで、鶯が鳴いた。 見上げた空が、紅色の息吹を纏ったたくさんの枝葉に縁どられている。雪解け水は小川のせせらぎとなって耳を癒やし、頬を撫でる風はほんのりと温かい。新しい季節が、もうすぐそこまでやってきていた。 乾いた空気を吸い胸を膨らませると、結わえた髪の先がふわりと揺れた。ふむ……と口先を尖らせ、しばし思案する。頭の中を駆け巡る言の葉をかき集め、生み出される響きを反芻した。「鶯の鳴きて見つめし春空の、青き思いに心弾みし」 ホーホケキョ。応えるように、鶯がまた鳴いた。 褒められたのか、けなされたのか。きっと後者だろうと見繕い、正直な春の使者を讃え、微笑んだ。「桜天兄上!」 けたたましい声が城の廊下に響き...
2022.08.20 15:00『HAREM』VRスコープを通して繋がる再会BL 繁華街の終点で、一人の男が立ち止まった。ライトアップされた店の看板が、男の整った顔立ちを浮き彫りにする。ダークウッドの扉は重かったが、力を込めると軋むことなく動いた。 街の雑踏とは質を異にする静かな空間が、男を迎え入れる。足を踏み入れるなり屈強な男に値踏みするように視線で全身を舐め回されるが、用心棒らしき彼は、ただ先を促すように顎を突き出しただけだった。 初めてのダンジョンに挑む勇者のように身震いしながら、受付カウンターへと足を進める。すると、タブレットの画面を熱心に覗き込んでいた蝶ネクタイの店員が来客に気づき、顔を上げた。「いらっしゃいませ。VRルーム『HAREM』へようこ……そ……」 貼り付けられていた営業スマイ...